スタンダールの「アルマンス」はEDの悲劇

スタンダールは19世紀のフランスで活躍した小説家。父を憎み、母を溺愛したといわれています。7才にして母と死別し、生涯父を嫌ったため、フランス生まれであるにもかかわらず、イタリアでの生活経験が長い人です。

精神的には不安定で、優秀な成績で大学に入学したものの長続きせず、コネで軍隊にはいります。少尉として遠征もしますが、軍人としては三流。馬にも乗れずほとんど遊んでばかりいたそうです。軍を退役してからはコネで役人となり出世しますが、ナポレオンの没落にともない失脚し無職になってしまいます。

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遅咲きの天才

彼は、もともと小説家をめざしていたわけではありません。エンジニアをめざして大学に進学しましたし、軍隊経験や役人経験もするなど、普通の生活を望んでいたようです。失職してしかたなく文章を書くことを思いついたのでしょう。作家としてはとても遅いスタートです。

39才の時にエッセイ「恋愛論」を発表。44才のときに最初の長編小説「アルマンス」を発表します。47才で「赤と黒」を、56才で「パルムの僧院」を著わし、59才で亡くなります。作家としての人生は20年程度で、「アルマンス」以降を小説時代とすれば、わずか15年です。とても短い作家生活にもかかわらず、歴史に名をのこした天才です。

アルマンスはシェークスピア的恋愛小説

貴族の息子である主人公オクターブは二枚目の貴公子。たまたま財産を得て社交界の人気者となります。いとこの美しい少女アルマンスを好きになりますが、社交界の交友関係のもつれや金銭関係のいざこざのおかげで、すれ違いがつづきます。

実はオクターブはある秘密をかかえて悩んでいました。そのために、アルマンスに対する恋心をうちあけることができません。一生秘めた恋として終わらせようと決意します。オクターブの「秘密」は物語の中では最後まで具体的にはなりませんが、明らかに「性的不能」のことです。お互いに愛を確かめあうものの、結婚できないと悩み苦しみます。

もしこの時代にバイアグラがあれば、オクターブは迷わず結婚していたことでしょう。今なら小さな問題ですが、主人公にとっては大きな悩みでした。その後も数々の行き違いや、いやらしい親戚のよこやりにより誤解がふくらみ、結局主人公は服毒自殺することになります。最後の終わり方は、「ロミオとジュリエット」に似た展開です。

実にもの悲しいストーリーですが、こころゆさぶられる古典的名作です。