処女のはずがそうじゃなかった!?夕暮れまで

「夕暮れ族」という言葉がはやりました。中年の男性が若い女の子とつきあうということで、主に「不倫」関係を意味しています。1978年の吉行淳之介の小説「夕暮れまで」の影響です。後には「夕暮れ族」という愛人バンクも登場し、売春組織として摘発されたりもしましたが、社会にインパクトを与えた小説であったことの証でしょう。

女性にモテモテ男だった吉行淳之介

吉行淳之介は1924年に生まれ、1994年に70才で亡くなっています。「夕暮れまで」が発表されたのは54才のとき。岡山県生まれですが育ったのは東京麹町。麻生中学から静岡高校、東大へと進学しますが、授業料を払わずに退学しています。

出版社で働きつつ小説を書きつづけ、1954年の30才のときに「驟雨」で芥川賞を受賞。昔の「文壇」の人にありがちな派手な女性関係をもちます。若い頃に結婚しますが、女優宮城まり子と不倫し同棲を始めます。その一方で、クラブのホステスなど何人かの愛人も持ちました。最初の奥さんとは離婚しておらず、結婚は一度きりでした。

終生女性に愛されつづけた人ですが、「女性嫌悪症」(ミソジニー)だったという指摘もあります。ミソジニーの人達は、女性に無関心でいられないという特性をもっているらしく、それが故に、多くの女性と関係を持つということです。「夕暮れまで」で描かれている女性像も、「ピュアな女」を演じながら、実はしたたかに巧みにおじさんをあやつる物語ですので、「女性嫌い」の一面が出ているのかもしれません。

若い女性にもてあそばれる中年オヤジ

中年小説家がパーティで出会った女性「杉子」と仲良くなり、高級レストランで食事デートをするようになります。杉子はホテルには一緒に入るのに最後の一線だけは超えさせません。「処女」を大事に守っているので、いつも男性器を股間にはさんでいかせる(いわゆる「すまた」)だけ。

主人公はそんな杉子がかわいくてしかたがありません。杉子のためにさまざまなレストランを紹介し美味しい食事を食べさせます。つきあい始めて1年を過ぎたころのこと、いつものように杉子の股間にはさんでイカせてもらおうとしていると、偶然、スルッとペニスがヴァギナに入ってしまいました。処女だと思っていた杉子は、とっくに若い男と…。中年男性のわびしい物語です。

中年男の夢とロマンスとをわびしく描いた傑作です。世の中甘くはないと思い知らされる作品でもあります。