スウェーデン国民の3人に1人が読んだミレニアム

「スウェーデンの作家」と聞かれても一人も思い浮かばないという人が、少なくないでしょう。児童文学の「ムーミン」を思い出す人がいるかも知れませんが、ムーミンはスウェーデン語で書かれていますが、作者のトーベ・ヤンソンはフィンランドの人です。「ミレニアム」はスウェーデンの小説で初めて世界的に大ヒットした作品と言えるかもしれません。

スティーグ・ラーソンの描いたこの物語は、人口950万人のスウェーデンで、300万部も売れる大ヒットとなりました。国民の3人に1人が購入した計算になります。読者はそれをはるかに上回る人数と考えられますので、読んだことのない大人はほとんどいないのかも知れません。

世界的には800万部以上のベストセラーとなり、国の人口に迫るほどの部数が売れましたが、残念なことに、この作品が発売されヒットする前に、作者のスティーグ・ラーソンは病死してしまいました。彼にとっては、「ミレニアム」3部作は作家として初めての作品であり、かつ、最後の作品となったのです。

性暴力に関する自身の体験から、描かれた物語

スティーグ・ラーソンは15才の頃に、女性が輪姦されるのを目撃しながら、その場を立ち去ったという経験をもっていたそうです。翌日、被害者の女性を訪ねて謝罪したものの受け入れられず、その罪悪感から、性暴力に関する物語を描いたといわれています。その時の被害者の名前が「リスベット」であり、それをそのまま「ミレニアム」のヒロインの名前として使っています。作品全体から感じられる暴力性や暗さは、暴力や性犯罪に対する憎悪が込められているからでしょう。

物語の主人公はジャーナリストのミカエルで、犯罪の捜査をするというミステリーですが、そこに、奇妙な少女リスベットが絡んでストーリーが複雑な展開となります。リスベットは父親から暴力を受けて育ち、後見人からも性的暴力を受けた経験をもっています。女性とのセックス、ミカエルとのセックスなどもあり、暴力とセックスがどぎつく描かれた作品です。

映画ヒロインのノオミ・ラパスは人気女優に!?

映画・ドラマでヒロインのリスベット・サランデルを演じた、スウェーデンの女優ノオミ・ラパスは、リスベットのイメージにピッタリマッチしたキャラクターであり、体当たりで見事な演技をしています。ヌードを披露しセックスシーンも演じてはいますが、特に美人でもなくセクシーでもないのに、この映画によって大人気女優となります。「シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム」や、「プロメテウス」など英語作品に次々と出演し、ハリウッドでも知られた女優となりました。

ハリウッド映画としてのリメイクも決まっており、さらに世界的にヒットすることでしょう。それだけにますます、作者のスティーグ・ラーソンが亡くなっていることを残念に感じられる人も多いのではないでしょうか。ただ、ラーソンは少年時代の後悔をこの作品で懺悔することに成功したといえるかもしれません。