美女が自殺する前にはやっぱり激しく交わりたい!?~憂国
わが国の文学史に燦然(さんぜん)と輝く作家、三島由紀夫。良家のお坊っちゃまで、生まれながらにして優秀な頭脳と類いまれなる文才を発揮した大天才です。東大を卒業して官僚になったものの長くは続かず、小説家となりました。それまでの日本文学とは一線を画し、流麗な文体と突飛なモチーフで、狂気やエロチシズムを真正面からとらえ新しい世界を創造。世界中に「日本にも文学がある」ことを知らしめた功績は、川端康成をして、「三島くんのお陰で、ノーベル賞を受賞できた」と言わしめたほどです。
その作品のひとつ「憂国」は、二・二六事件を背景に、若い美男美女カップルが自殺の前にたっぷりとセックスするという物語。国を憂うと言いながら、男女の求めるものは互いの体でした。
日本文学は相手にされていなかった!?
日本人は世界で最も古くから文学を愛好してきた民族であり、ヨーロッパにはまだ文字の読める女性がほとんどいなかった1000年前の時代においても、すでに和歌をたしなむ女性が多くいて、長編小説「源氏物語」や、エッセイ集「枕草子」なども成立しています。世界中のあらゆる文明と比較して、わが国ほど文学が生活に密着した形で続いてきた国はないでしょう。古代から、暮らしの中に文学があったのです。
ところが、西洋至上主義の思想のもと、わが国の文学は世界から相手にされていませんでした。特に敗戦国となった戦後においては、「日本人の小説など、低俗に違いない」という目で見られ、他の国々からは見向きもされなかったのです。それが、三島由紀夫の登場と共に、一変します。扱うモチーフの斬新さ文体の美しさが、世界中の文学通を唸らせたのです。三島の人気によって、他の日本文学も注目され始めます。国内では大人気作家であった川端康成も、三島ブームに乗って世界的に知られるようになりました。
日本文学が国際的に評価されたお陰で、川端はノーベル賞を受章できたわけで、その立役者となったのは三島由紀夫。それで、川端は「三島くんのお陰で」と語ったわけです。
セックスとエロは三島のテーマ!?
三島由紀夫という名前は、今では「有名すぎて遠い」存在なのかもしれません。高校生、大学生にとっては「難しい小説」というイメージがあるようです。ただ、三島由紀夫はセックス大好きエロエロ大好き人間でしたので、扱うテーマも性的なものが多く、エッチなことで頭が一杯の高校生、大学生にとっては、とても「ありがたい」作品がたくさんあります。 オナニーネタにも使えるでしょう。
「憂国」という小説もそのひとつ。タイトルは堅苦しく、中身も「ニ・ニ六事件」を扱ったものですので、重い印象がありますが、ストーリーとしては、若い夫婦がいつでもどこでもセックスを楽しむという物語です。美男美女の若夫婦は、夫が帰宅するや否や、交わります。まだ風呂にも入らず埃っぽいままの夫のモノを、美人妻は喜んで受け入れるのです。
1ヶ月間毎日していると、妻はオーガズムを知るようになり、ますます性生活を楽しむようになりました。そんなある日、ニ・ニ六事件が起こります。クーデターの中心にいるのは、夫の友人たち。仲間に加わりたいという思いと国を裏切れないという思いとがぶつかって、夫は自害することを決意。妻もそれに従います。そして最後の晩には、やはりセックス。死ぬ前に互いの体をむさぼりあい堪能し尽くして死のう、と決めたのです。
「憂国」は、重々しくも軽く、憂うつでエロエロな作品。バイアグラのお世話になる年代のオジサンでも、十分に勃起できる「名作」です。